たかが ”ダンス”  されど ”ダンス”

投稿日: カテゴリー: Inspirationペアダンスのススメ

私の仕事はペアダンスを教えることだ。

 

今はペアダンスを教えることを生業にしている。

 

そんな中で以前からよく聞く言葉がある。

 

「こんな状況でダンスなんか踊ってられない」
「こんな時にダンスなんて不謹慎だ」

 

この「ダンスなんか」という言葉。
みなさん気軽に使うけれど。

 

その「ダンス」に人生をかけている私にとって
その言葉は実はちょっと傷つく。
傷つくというと大げさかもしれない。。。
もう言われ慣れているので傷つかないけれど、やはり少し悲しくなる。

 
考えてみてほしい、
「ダンスなんか」と言われてしまうものに
私は情熱を燃やしているし、人生をかけている。

 
「こんな状況でダンスなんか踊ってられない」

 
 
この言葉を初めて意識したのは3.11 東日本大震災の時だった。

 
震災の直後、サルサ界も自粛モードが広がっていた。

 

 
こんな時に踊るなんて不謹慎だ。
そんな言葉がたくさん聞こえた。

 
 
毎日のようにTVやネット上で流れてくる被災地の悲惨な状況。

 
そんな言葉が聞こえてくるのも当然だったし、私自身も、そうだよな〜と確かに思った。

 
当時の私は企業に勤めていたので今のようにダンスを仕事にしていなかったですが、
既にレッスンのアシスタントをしたり、様々なイベントでパフォーマンスをさせて頂いていた。

 
だからか、少しばかりでも、サルサ界に身を置く人間として、
自粛、自粛の流れに少しだけ疑問を感じた。

 
このままサルサからみんなの足が遠のいたら、私の大好きな踊り場はどうなるのだろう?

 
20代前半から仕事帰りにはほぼ毎日どこかしらのサルサバーに出かけていた私にとって
サルサバーはなくてはならない存在だった。

 
まだ若くて世間知らずだった私にたくさんのことを教えてくれたサルサバー
たくさんの辛いこともサルサ場があったから乗り越えられた。

 
いつもよくしてくれた店員さんやサルサバーのオーナーさんたち、
そして、サルサのインストラクターさんたち

 
彼らの中にはサルサを生業にしている方も多く
このまま自粛モードが続いたら、その人たちの生活はどうなるのだろう?

 
いずれ世の中が良くなり、またみんなが踊りたい!って思った時に
踊れる場所がなくなってしまっているのではないか!?
そんな想いにかられ悲しくなった。

 
何か私にできることはないかな?と思い、当時書いていたブログでみんなに呼びかけた。

 

そうしたら同じように感じてくれている方たちが結構いて、たくさん共感を頂けた。

 

自粛自粛ではなく、自分たちが大好きなサルサを使って被災者の方々を支援できる方法を考えよう。

 

そんな流れも生まれてきていた。

 

今もお付き合いのある尊敬するイベンターさんはすぐにチャリティーサルサイベントを企画した。
私はすぐにパフォーマーとして立候補した。

 

サルサの先生方は生徒さんが来づらくならないよう、毎回のレッスンのレッスン代から500円ずつ募金をする方法を取った方もいらした。

 

また、計画停電があったり、電力が足りないと言われていた当時、
家にいるより一つの場所にみんなが集まった方が節電になるから、
みんな踊り場においでよ。
そんな呼びかけをしてくれた人もいた。

 

この時に私はサルサの持つパワーとポーテンシャルを感じたのを覚えている。

 

何よりも、あの状況の中、身寄りのいない東京で一人でいるのは怖かった。
だから誰かと一緒に過ごせた方が当時の私は安心できた。

 

話が少し逸れましたが、
この時から私は「ダンスなんか」という言葉について深く考えるようになった。

 

ダンスはやはり生活に必要のないものなのだろうか?
こんな時に踊るのは不謹慎なのだろうか?
ダンスの何がいけないのだろうか?

 

 

でも、ちょっと考えてみてほしい
ダンスは古代からずっと人々のそばにあった。

 

Wikipediaによるとダンスの歴史は人類の歴史と同様に古いものだと言われている。

 

雨乞いのダンスだったり、豊作を願うダンスだったり、世界各地に様々なダンスが存在していた。

 

宗教的儀礼もあれば戦いの前の意識高揚のためのダンスもあれば
歴史の伝承、権力への抵抗といったダンスもあった。

 
過酷な労働の中でも、祖国のアフリカの大地を忘れず、生活に深く根付いたダンス。
社会における差別を乗り越え、生きる力や希望、魂を感じるためのダンス。

 

私が踊るキゾンバもアンゴラという紛争の多い複雑な歴史を持つ国で生まれた。
植民地として自分たちの言葉をはじめ、国としてのアイデンティティーを奪われてしまった国だからこそ、
彼らに取ってはキゾンバがパスポートのようなものなのよ。
と教えられた。
大変な状況だったからこそ踊りが人々の救いとなったのではとその話を聞いて感じました。

 

こうして少し考えてみるだけでもダンスは古くから我々のそばにあり、
特に、逆境の時こそダンスが人々を救ってきてくれています。

 

だからこそやっぱり大変な時こそ、「踊ってほしい」

 

考えれば考えるほど、そんな風に思うようになり始めました。

 

現在、私のダンス教室にも様々な人が通われています。

 

年代も性別も国籍もみなさんそれぞれです。
様々な人がいるからきっと踊る理由も様々です。

 

ただ楽しいから踊っている方もいれば
家庭や仕事で大変な思いをされているからこそ、踊らないとやってられない!
なんて方もきっといらっしゃると思います。

 

仕事や家庭以外での人との繋がりを求めている方もいるかもしれない。
ペアダンスだからこそ、人との繋がりや人の温もりを感じることができます。

 

以前、ご両親の介護をされている方とサルサ場で会いました。

 

普段は介護で大変だからサルサを踊れる時間が私の息抜きとおっしゃられていました。
ご家族もその方が普段介護で大変なのを理解されているから、
サルサを踊る時だけは
「今日は私がみてるからいっておいで」と快く家から出してくれていたんだそう。

 

私はこの話を聞いた時、とても嬉しくて
もっとたくさんの家庭がこうであってほしいな
と感じました。

 

こんな大変な時に踊る気分になれない。
そんな言葉もよく耳にします。
そんな時は無理して踊る必要もないと思います。
本当に楽しめる時に、また戻ってきてくださればいい。

 

でも、本当は踊りたいけれど、こんな時に踊りに行く自分を
家族や近所の人や世間は批判するだろう。

 

そういった理由で踊りに来れなくなってしまうなら、
そんな心配は捨てて、今すぐに踊りにきてほしいと思う。

 

もし踊りに来ることができなくても家で好きな音楽をかけて
音楽に合わせて体を動かしてみてほしい。

 

もしかしたら、少し気持ちが楽になるかもしれません。

 

私は今までいつも辛い時にペアダンスが助けてくれました。
辛くても、重たい腰を上げて踊り場に行くと、
みんなが笑顔で迎え入れてくれて優しく踊ってくれました。
言葉を交わさずもあたたかいハグで迎え入れてもらったこともありました。

 

私が経験してきた辛いことは皆様の抱えている辛いことに比べたら比にならないかもしれません。
もしかしたら本当に踊れなくなるほどの辛いことをまだ経験していないから
こんなことが言えるのかもしれません。

 

でも、このブログを読んで、少しでも何か感じるものがあったら
辛い状況でも、そんな中で自分の中で楽しみを見つけることを自分に許してあげてほしい。
辛い状況から、癒しを求める自分を許してあげてほしい。

 

大変な状況の中、24時間365日、辛さと戦わなくていい。
頑張っている自分に少し楽しむ時間をあげれたら、きっとまた明日から頑張れるのではないかと思う。

 

そして、他人の生活や気持ちは第三者にはわからないものだと思います。
だから、誰かが辛い状況の中踊りに行くのをみても
決してジャッジ(批判)をしないでほしい。

 

こんな時に、ダンスなんか!
ではなくて、
こういう時だからこその「ダンス」なのかもしれない

 

古代から人々の近くにいつもあったダンス。
逆境の時に救ってくれたダンス。

 

ダンスは道具もいらないので、体と音楽があればどこでもできます。音楽がなくても自然の中の音を拾えばいい。
一番身近なヒーリングかもしれません。

 

今日、身近な人から また
「こんな時にダンスなんか」
という言葉を聞いたので

 

ずっといつか書きたいなと思っていたこのテーマについて
やっと書くことができました。

 

この記事は誰か個人に向けたものではなく、ずっと心の中で思ってきたことなので
少しでもこういった考えもあるよってことを聞いて
ダンスに対する考え方が変わってくれたら嬉しいなと思って書きました。

 

 

たかがダンス、されどダンス。
 


たかが ”ダンス”  されど ”ダンス”” への2件のフィードバック

  1. 先生、私はダンスに救われてます。先生に出会えて救われてますよー。私がペアダンスを始めたのは、311の直前です。ダンスは、希望だと思っています(^ ^)。

    1. 美奈さん、いつも有難うございます^^
      そうですよね、ダンスに救われている方いっぱいいますよね!
      美奈さんにもそんな風に言って頂けて嬉しいです。
      希望のダンス、これからも一緒に楽しみましょうね!

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